IBMでコンサルティングを手がけるIBM グローバルサービスから、刺激的なタイトルのレポートが挙げられた。End of Advertising as We Know It、現在の広告モデルの終焉に関する内容だ。
広告予算が新しい、対話的なメディアに急速にシフトし、これらのメディアが伝統的な広告の5倍以上の率で成長率すると予想されている中、伝統的な広告関連企業は大幅な収入減の危険にさらされている。この新しい事態を生き残るためには、マスメディアはその「マス」を対象とするという態度を捨てて、さまざまなニッチに存在する消費者に訴えかけるすべを学ばねばならない。広告配信者はさまざまなマルチメディア機器を利用して特定のターゲットに的確に対話的広告を送り届けることができなくてはならない。広告代理店は大いに実験性と創造性を発揮して、消費者の心理を深く洞察し、爆発的に増加している選択肢から適切な予算配分を見出す必要がある。広告関係者は全員、従来の広告モデルに対してよりオープンなプロセスによって売買される広告モデルを受け入れなければならないだろう。
本レポートは、広告業界の力関係を根本的に変化させる4つの要因に注目した。すなわち、アテンションのコントロール、創造性、効果の測定法、広告手段の4分野における変化である。消費者のアテンションのシフトは、インターネット利用時間がテレビ視聴時間に迫っていることで明らかである。消費者はCMによって視聴時間が分断されることに飽きあきしており、付随する広告を含めたコンテンツの視聴経験において、どのようにフィルタ、配信、対話性のいずれの側面においても自らの主導権を強く行使するようになりつつある。IBMの調査によれば、DVDレコーダーの所有者の50%以上が番組を録画後後再生して視聴している一方、伝統的なテレビCMはそのままオンライン化することは不可能である。アンケートによれば、40%の視聴者がオンライン・ビデオ内の広告を「他のあらゆるフォーマットに比較してもっとも不快」と回答している。アマチュアやセミプロのクリエーターがきわめて低コストで独自の番組を制作してはじめており、これが次第に従来のプロダクションを脅かすまでになっている。一方、放送メディア側もクリエイティブ面での役割を多様化させている。広告主は広告業界に対し、さまざまな広告プラットフォームについて詳細かつ個別に消費者の反応を測定し報告する説明責任を一層強く求めるようになっている。従来の独占的な広告チャンネルや広告販売の慣行に、広告主による「セルフサービス広告」が取って代わりつつある。
TechCrunch Japanese アーカイブ » IBM―「現在の広告モデルの終焉」を説く
レポートはこちらから。
ポイントは4点。
- 放送者は、今後は大衆向けではなくよりニッチな消費者層に合わせて番組作りをすべき
- 流通業者は、今後はより対象を絞った、インタラクティブな広告を様々なマルチメディア機器を介して行うべき
- 広告代理店は消費者の認知や広告費用を爆発的に増える選択肢に割り当てるブローカー的存在となるべき
- 広告に関わる関係者は全て、広告が伝統的な中間業者を通さずオープンにやりとりされる世界に備えるべき
ポイントだけ見ると以前読んだテレビCM崩壊の内容に似たりよったりな感じだが、あの本の刊行から1年数ヶ月が経っている。IBMがわざわざ書いたレポートなので後でのんびり読んでみよう。
テレビCM崩壊 マス広告の終焉と動き始めたマーケティング2.0
Price: ¥ 840 JPY