日本からアメリカへと主戦場を変えてはや二年。日本での活躍も然る事ながら日本の女子プロの中では抜きん出て躍動感のあるスイングを魅力に感じていた宮里藍が最近の心境を自身のブログで語っていた。
そして4歳から始めたゴルフ人生の中で、最も苦しい時期だと思います。苦しい。ai-miyazato54.com 心境。(2007/10/10)
最近の不調はご存知の通り(2007海外トーナメント結果)で、期待を抱きつつ心配に暮れるファンも多いと思うし、自分もその1人だが、宮里藍のブログでついにその心境が語られていた。
彼女はその原因を以下の3つであると分析している。
- 足の怪我
- ドライバーの練習不足
- 優勝へのモチベーション
1.足の怪我は、ゴルフのプレー自体に影響するような怪我ではなかったそうだが、結果的にスイング調整にづれが生じてしまい、そのづれが想像以上に大きくなってしまった事。
2.ドライバーの練習不足は、アイアンのスイング調整に時間を割いてきた結果、バランスが崩れ全体の調子が悪くなった事。
3.優勝へのモチベーション。もう勝てる!という焦りから静穏を保てなくなった事。
原因はやはり焦りなのかもしれない。怪我や練習不足は大会に出場し続ける中で毎回思い描くもので、今後も付き合っていくものだろう。日本の女子選手では初めて本格的にアメリカLPGAツアーに参戦して1987年には、アメリカ人以外で史上初のLPGAツアー賞金女王となった岡本綾子もやはり綺麗なスイングをしていると思ったが(もっとも連続写真や動画で見る限りだけど…)、いつだったか雑誌で語っていた言葉が印象的だった。「私は怪我をする以前のスイングがパーフェクトだった。それ以降はその時のスイングを確実に再現出来ないので、試合当日のスイングと球筋に逆らわないようにプレーを組み立てる」確かこのような事を語っていた。宮里藍もそういう試合の組み立て方を身に付けていっても良いのかもしれない。
後は彼女のブログやサインにも示されている、ビジョン54を創設したピア・ニールソンを正式なコーチとして契約した効果を少しずつ発揮してくれたら。ビジョン54は全18ホールでバーディを取る事を目標に掲げた思想。アニカ・ソレンスムのメンタル面のコーチとして有名だし、もともと宮里藍もこの考え方に賛同していた。アニカのような鉄人のようなプレーヤーになって欲しいとは思わないけど、彼女なりのゴルフの楽しさを前面にだしたプレーをまた見せて欲しい。いや魅せられたい。
ちなみにビジョン54の日本語版、ゴルフ「ビジョン54」の哲学 楽しみながら上達する22章はスイングの技術論に囚われない、かといって啓蒙書のように、人生明るいから前向きに、とかを語る本ではないです。スイングに至る前、その後にどうあるべきかを語る、今までのゴルフ本には無い構成で読み応えがあります。
- 作者: ピア・ニールソン&リン・マリオット, ロン・シラク, 村山美雪
- 出版社/メーカー: ランダムハウス講談社
- 発売日: 2006/11/09
- メディア: 単行本
次の試合は10/11~14で開催されるSamsung World Championship。ロレーナ・オチョアやカリー・ウェブなど強豪も出場する試合。復活への足がかりになる試合にして欲しい。
宮里藍ブログを読むたびに思うのだが、彼女はとても色々な事を考え、不安にもなっているし、アメリカでの大変さがにじみ出ている。でも同じくらい文章はとても前向きで、次の一歩を大切に思う気持ちも溢れている。こんな彼女の成功を思わずにはいられない。